新装版 真説宮本武蔵 (講談社文庫)



新装版 真説宮本武蔵 (講談社文庫)
新装版 真説宮本武蔵 (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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ほんとうはこうだったかもしれない

どことなく、哀れで滑稽な感じさえする宮本武蔵がここでは描かれ、たいへん面白い作品に仕上がっている。司馬遼太郎は、「新撰組」についても、どことなく滑稽で哀れな集団に描いていたが、そういう視点がとても現実的で惹かれる。ここでは、武蔵は確かに凄い奴なのだが、案外に志は俗人で、それも余り上等とも思えない。公平に言って「売り」が所詮撃剣の腕前なので、出世は知れているのだが、当の本人としては、余人を持って替え難い意識が強すぎ、どうしても、「過分な」処遇を期待する。結局「過分」を「妥当」にするには撃剣ではだめで、戦術、指揮、行政などほかの実績が要るのだが、それはキャリアにまったく無い。矢鱈と剣術だけが凄い。それと芸術的なことをさせても凄い。だから万能天才の如くで、目前の相手は誰であれ「小さく」見えるため、「どうして俺がこんな処遇なんだ」と不満が募る。最後に島原の乱で頼まれもせぬのに、石垣を登っていく、その姿が、可愛そうに思え胸を打つ。給料取りなら同じような気持ちが過ぎることもあるだろう。でも全編著者の明るさと、博識、文章力で、とても楽しい作品になっている。



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